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かのか

@gugnc10

45年連れ添った妻を亡くし66歳で一人暮らしに、、、。助けてやれなかった後悔と寂しさで、いまも妻との思い出に彷徨い続けてます。生きる意味をすべて失い、誰にも話せずに孤独と戦ってる老人です。#死別

職場で食材の調理方法の話題になって、自慢げに調理方法を教えてくれる先輩老人の話しに対し、僕には難しい方法ですねと伝えたら『独身だったら料理は得意でしょ』と言い返された。妻はいなくなったけど僕は独身でもないし、妻の味が忘れられないから自分で作る。でも何も言い返せなかった。


寝室に掛けっぱなしの妻が在宅医療中のホワイトボード、昨日やっと押し入れに片付けた。いま僕の精一杯の決断。


今日、14日。妻10回目の月命日。いつも通り仏壇に手を合わせて出勤。仕事帰りに、おはぎを買ってお供え。あと2ヶ月で1周忌。もうすぐ納骨だ。


目を覚ますと小学生の娘3人と妻が食卓に座って朝ごはんを食べながら何か楽しそうにお喋りをしてる。みんな起きたばかりの僕の方をみて、おはようと僕に挨拶した。そしてまたお喋りを始めた。もうこの家には誰もいないのに僕は狂ったのか、、、ようわからんようになってもうた。


仕事帰りにスーパーに買い物に行く。美味しそうなものが沢山並んでて、食べたいなと思って値段を見るとなかなか手を出せない。この物価高でこの先、ひとりで生きていけるのか心配になってくる。スーパーを出る時、冷たい風にあたると少しみじめになる。こんな時でも妻の顔が浮かぶ。寂しいな。


古いデジカメを処分した。SDカードを取り出して数ヶ月放置してたのを今日ポンコツパソコンで見てみた。20年前、当時大阪の学生だった長女と妻が京都に旅行に行った時の写真。日頃は質素な妻がおしゃれな服着て笑ってる。僕の妻、可愛いいな。熱くなる気持ちを静めるのに苦労した。


これからは何をしようかね?と妻がつぶやく。あなたは決まったばかりの仕事頑張って!暇な時は家のあそこを修繕してよね!実家の草刈もお願いね!たまに些細なことで口喧嘩してお互いプイッとする。そんな毎日だった気がする。まだまだずっと続くんだろうと。容赦なく終わるのが人の命だった。


2、3年前にボイスレコーダーに録音した医師と妻の会話を聴いた。骨になって9ヶ月、仏壇に祀ったままの骨壺を目の当たりにすると妻はまだ生きているように錯覚してしまう。


妻が闘病中、今後の治療方法を僕は医師から貪るように聞いた。望みはなったのに、この治療をやれば望みはあるってよ!と妻を励ました。妻も僕の言葉を信じてつらい治療を頑張った。僕の言葉を信じたまま逝ってしまった妻がふびんに思う。今となっては医師から聞いた話しは何の意味もなくなった。


今日9回目の月命日。この三日間は肉体労働で妻を考える余裕もなく、夕方ようやく仏壇の妻に報告した。『お疲れ様でした』と妻はつぶやいた?もう誰も住んでない妻の実家での肉体労働はこれで終わりにしていいかな。お供えもできずに悪かったね。


記憶の距離。会社の朝礼ラジオ体操中に仕事ズボンの裾に目がいった。裾の縫い目を見た。妻が術後でまだ元気な頃。僕の再就職を喜び、仕事ズボンを裾上げしてくれた。この光景つい最近だったはず。でも時間は2年近く流れてた。記憶と時間の距離は永遠に離れていくんやな。時間って何かね。


孫守り。孫5歳をディズニー映画に連れて行く。我々の時代、チケットは窓口で買った、今は機械で買うのかい。お次はお菓子とジュースを買う。これがまた大変。無事、席にたどり着く。孫を横目で見る。すごく喜んでる。でもジイは大変だよ。歳の差62歳の彼女と二人っきりのデートは無事終了。


8ヶ月も寝室の壁に掛けたままのホワイトボード。在宅医療中、妻が亡くなる4日前からの医療用麻薬投与時間、投与量、痛み、症状、排尿量などが分刻みで書いた記録。見ると当時の記憶が思い出されつい目を背けてしまうけど妻が苦しみに耐えて頑張って生きていた証だと思うと消せる決心がまだつかない。


今日妻のお墓の契約をした。あととりがいないので永代供養かお墓を建立するか、ずっと迷ってきた。もともとある我家代々のお墓は墓じまいして、別の墓地に建立。妻を一周忌に納骨。先祖の遺骨も移すことに決めた。墓碑は『想』。お金は無くなったけど、気がかりだった事もひとつ無くなった。


今日も暑いとTVで聞く。去年妻が抗癌剤治療を終え退院した日を思い出した。新幹線で連れて帰った。ホームまで暑く長い道のり。両手に荷物を抱え、妻は後ろをヨチヨチ歩きでホームにやっと辿り着く。新幹線の中で嘔吐、痙攣で救急搬送。ホームまでオンブすらしてやれなかった自分に後悔。ごめん。


断捨離。 単に要らない物を処分するじゃなく、思い出の物も処分した。妻が家庭菜園で使ってた軍手。その軍手は妻が脱ぐときに裏返ったまま庭に置いたまま。日常の小さな光景だったけど、思い出の妻の日常を断捨離することを妻は許してくれるだろうか。


寂しいな。今日みたいなひんやりした秋の風が吹くと急に寂しくなった。去年の今頃、よく妻といっしょに歩いた海岸に行ってみた。海面は潮が満ちて空は青く、風は心地良い。よく二人で海を覗き『あ、あそこに大っきな魚がいるよ』と妻が指さしてた。同じ場所で同じように海を覗いてみた。寂しいな。


妻の笑顔。 春 梅林に群がるメジロを見上げる妻は希望いっぱい満面の笑顔。 夏 ヒマワリ畑で無邪気に隠れん坊。 秋 りんご狩のベンチで一口かじり、呟くようにオイシイと微笑む。 冬 手紙にありがとうの言葉を残して旅立ち、笑わない妻の顔を見た。 あと何年、春夏秋冬を迎えたらいいのかね。


妻よ。 ほんとの事を言おうか。 お前のことが大嫌いだ。 本当に大嫌いだ。 いっしょにいるだけで嫌だった。 お前なんかと結婚するんじゃなかった。 もう愛想もつきた。 早く別れるべきだったよ。 さよなら。 死んでしまったんじゃ こんなウソも言えないな。


妻に膵がんが見つかって亡くなる迄の1年半。生きることを必死に励まして二人で頑張った。苦しい毎日だった。今も亡くなる瞬間の妻が頭から離れない。でも、最近思う。自分には妻が病気になる迄の40数年間の思い出がある。いつかボケて死ぬ日が来ても、その頃の妻を見て逝けるようになればいいと思う。


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