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丹羽真

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夕方、訪れたファミレスでは三人ともうどんを注文した。髪が長いせいでうどんを啜るのに苦戦していたエリオの髪を結ってやっていると、『すっかりファミっちゃってるわね』と女々さんが謎の単語を発していた。そんな日本語はないと突っ込むと、だって英語だもの、と返されて反論できないのであった。


青春ポイントの変動イベント、特になし。 ±0


注文した料理を待つ間、エリオが入れたお茶を啜る。粉の量が多すぎたのか味が濃くて苦い。思わず、べ、と舌を出してしまう。と、「イトコがわたしの真似した」と嬉しげにエリオが指摘してくる。 真似って……ずっと前の無糖のコーヒーのアレかな。まさか覚えていたとは。俺なんてすっかり忘れてたぞ。


駄菓子屋の店番から帰宅した後。女々さんが『晩ご飯は外食にしましょう』と言ってきたので、駅周辺にあるファミレスにやってきた。 しかしここ、本当にファミレスか? と店内を見回す。メニューとして掲げられているのは鶏と野菜の黒酢あんに、サンマの塩焼きと来る。渋いファミレスもあったものだ。


そして今日が休日であることが関係しているのかは定かではないが、来客はほとんどいない。午前中に店に訪れた人は、ここから最寄り駅までの道を尋ねてきた人と洗剤を買いに来たお婆さんのみだった。これだけ退屈だと家の自室で過ごすのと大差ないかもな、というのが午前中の店番を経て抱いた感想だ。


今年も残り半月となった日曜日。朝食後は特に予定もなかったので、エリオを自転車で送るついでに田村商店の店先に座り込み、店番に付き合ってみた。まぁ、家に帰ってもやることは特にないしな。 ちなみに女々さんは私服でどこかに出かけた。今日は仕事が休みからなのか、朝から元気だったなーあの人。


夕方、エリオは夜更かしをしてふたご座流星群を眺めるためにコーヒーを自分で作って飲んでいた。以前の失敗を踏まえてか、最初からミルクと砂糖を入れて。 で、肝心の流星の方は数分に一個流れる、といった頻度だった。冬の寒空の下、凍えながら流星群観賞に付き合うというのも、偶には悪くなかった。


エリオと一緒に星空を見上げた(ふたご座流星群記念)。 +2


布団の中身を察したので試しに名前を呼んでみると、「アタシという正体を見抜くとは。マコトの癖に生意気だぞ」とヤシロがあっさり顔を出した。いや、特徴的な白銀の髪がはみ出ていたから正体は筒抜けだったわけだが。 しかしまぁ、こいつがスマキンになるのも珍しい。なにか意味があったのだろうか。


さて、迎えた夕方。机の上に積まれつつあった読みかけの本を本棚に片付けていると、不意にスマキンが部屋にやってきた。でも中身はエリオではなさそうだ。そいつは明らかに布団を身体に巻きつけることに不慣れらしく、壁や扉にぶつかりながらふらふらと入ってくる。激しいショルダーチャージである。


その娘であるエリオも布団を身体に巻きつけているけど、こちらは起きている。テレビをつけて観ているのは朝のニュース番組の天気予報で、気持ちいつもよりも前のめりになっているように見える。 そういえば今夜は流星群が見られるって、昨夜話していたっけ。それで空模様が気になっているのだろう。


十二月の第土曜日の朝。起床後、私室で着替えを済ませてから一階に下りる。居間を覗いてみたが、この家の騒がしい四十歳はまだ眠っているのか静かだった。起きているのはエリオだけで、女々さんの姿は見当たらない。恐らくこの寒さと向き合うのが嫌で、まだ布団の中でゴロゴロしているのかもしれない。


今日の昼休みは、学食で親子丼を食べた。かつて俺が利き腕を骨折していた頃にそれを勧められて食べて、べた褒めした覚えがある。そのときから気に入ったのだった。 前川さんも『ここの学食のおばさんはカツ丼に見切りをつけ、親子丼を作るべきだ』と言っていたし、ごもっとも、と声なしで同意した。


昼休みに学食で前川さんと一緒にお昼ご飯。 +1


女々さんの宣言通り、今夜は野菜中心の料理が並んだ。その中には生姜焼きもあるけど、野菜炒めや煮物、野菜スープといった献立だ。確かにビタミンが豊富で、某フルーツストが喜んで食べそうなものばかりである。あの人にとって、これらの料理を完食するなど朝飯前なのだろう。今並ぶのは晩ご飯だが。


学校に店番、それに仕事と、各々が一日の務めを果たして帰宅した後。家の居間のこたつに入って本を読んでいたら、女々さんが晩ご飯を食卓に並べながら「今日はビタミンの日よー」と、謎の言葉と共に夕餉の席へ呼んできた。こたつから抜け出し、テーブルに置かれた料理を見てああなるほど、と納得する。


そして今日は前川さんとお昼を一緒することになった。他のクラスの友達と昼ご飯を食べてくるらしいリュウシさんを見送った後、折角だから今日は学食を利用してみるかと思って寄ってみたら、偶然顔を合わせた前川さんから誘われたのだった。今年最後の昼休みをこんな風に過ごすのも、いいかもしれない。


今年も残り三週間を切った十二月十三日。来週から授業があるのは午前中のみで、それから終業式を経て冬休みに入るので、この昼休みが今年で最後となる。 午後の授業がないのは楽だけど、青春ポイント的に美味しい昼休みは好きだった。同級生と昼食を一緒できるから、というのが最たる理由なのだが。


夕方、駄菓子屋に寄り道したときにもエリオは『じゃーん』と自作の昼ご飯の写真を自慢してきた。その際、頑張った頑張ったと褒めてみると、『そーだろーそーだろー』とご満悦だった。褒め方がなんだか毎度同じ気がしないでもないけど。そこで反発せず、素直に受け取るのがあいつの美点かもしれない。


青春ポイントの変動イベント、特になし。 ±0


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